--- title: "W04. バイナリフレームを送受信する" order: 54 status: "draft" --- WebSocketにはテキストフレームとバイナリフレームの2種類があります。JSONやプレーンテキストならテキスト、画像や独自プロトコルの生データならバイナリ、という使い分けです。cpp-httplibの`send()`は、オーバーロードで両者を自動的に切り替えます。 ## 送り分けの仕組み ```cpp ws.send(std::string("Hello")); // テキスト ws.send("Hello", 5); // バイナリ ws.send(binary_data, binary_data_size); // バイナリ ``` `std::string`を受け取るオーバーロードは**テキスト**、`const char*`とサイズを受け取るオーバーロードは**バイナリ**です。ちょっと紛らわしいですが、覚えてしまえば直感的です。 文字列をバイナリとして送りたい場合は、`.data()`と`.size()`を明示的に渡します。 ```cpp std::string raw = build_binary_payload(); ws.send(raw.data(), raw.size()); // バイナリフレーム ``` ## 受信時の判別 `ws.read()`の返り値で、受信したフレームがテキストかバイナリかを判別できます。 ```cpp std::string msg; auto result = ws.read(msg); switch (result) { case httplib::ws::ReadResult::Text: std::cout << "text: " << msg << std::endl; break; case httplib::ws::ReadResult::Binary: std::cout << "binary: " << msg.size() << " bytes" << std::endl; handle_binary(msg.data(), msg.size()); break; case httplib::ws::ReadResult::Fail: // エラーまたは切断 break; } ``` バイナリフレームも`std::string`に入って渡されますが、中身はバイト列なので注意してください。`msg.data()`と`msg.size()`で生のバイトとして扱えます。 ## バイナリを使うべき場面 - **画像・動画・音声**: Base64でエンコードせずにそのまま送れるので、オーバーヘッドがない - **独自プロトコル**: protobufやMessagePackなどの構造化バイナリフォーマット - **ゲームのネットワーク通信**: 低レイテンシが求められる場合 - **センサーデータのストリーミング**: 数値列をそのまま送る ## Pingもバイナリフレームの一種 WebSocketのPing/PongフレームもOpcodeレベルではバイナリに近い扱いですが、cpp-httplibが自動で処理するので、アプリケーションコードで意識する必要はありません。W02. ハートビートを設定するを参照してください。 ## サンプル: 画像を送る ```cpp // サーバー側: 画像を送りつける svr.WebSocket("/image", [](const auto &req, auto &ws) { auto img = read_image_file("logo.png"); ws.send(img.data(), img.size()); }); ``` ```cpp // クライアント側: 受け取ってファイルに保存 httplib::ws::WebSocketClient cli("ws://localhost:8080/image"); cli.connect(); std::string buf; if (cli.read(buf) == httplib::ws::ReadResult::Binary) { std::ofstream ofs("received.png", std::ios::binary); ofs.write(buf.data(), buf.size()); } ``` テキストとバイナリを混ぜて送ることもできます。たとえば「制御メッセージはJSON、データ本体はバイナリ」といったプロトコルを組み立てると、メタデータと生データを効率よく扱えます。 > **Note:** WebSocketのフレームサイズには上限がないわけではありません。巨大なデータを送るときは、アプリケーション側で分割して送るのが安全です。cpp-httplibのデフォルトでは大きなフレームもそのまま処理されますが、メモリを一気に使う点は変わりません。